夢を見ていた。誰かが泣いている夢。知っている人、なのに誰だか分からない。誰だっけ。こうして考えるうちにも「誰か」は涙の水溜りを広げる。

 耳鳴り。掃除機をかけているような、キーンと高く響く音。これは夢なのか現実なのか。

 「誰か」が顔を上げた。あぁ、やっぱり知っていた。「誰か」は小さく口を動かして、言った。感謝の言葉と別れの挨拶を。小さい声が頭の中に反響する。耳鳴りよりも大きな音で。

 そして鏡の自分は色彩薄れて存在を消した。反響する言葉を残して。これは夢なのか現実なのか。鏡の自分が消えたなら、現実の自分も消えたのか?本当に生きているのか、それとも死んでいるのか。

 そして目を覚ます。
 白いカーテン、白い壁。白いベッド、白い床。白い太陽光が世界を白く染め抜いた。


白昼夢
(知らず知らず、涙が頬を伝ってる)


20071128 江連由弌

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